「1聞いて、10分かれ」なんて、適当に言っていい言葉じゃない

どうも。1秒聞いて、なんの曲か分かります。カラオケ界のイントロドンこと、からおけ太郎です。

みなさんはこんな言葉聞いたことありませんか?

「1聞いて、10分かる人間になれよ」




どういうことかって言うと、物事を教わる時に、教える側が一々全部話して説明しなくても、教わる側は自分で想像して理解しろってことです。


論語に由来してる言葉らしいですよ。古代の中国人パネェな。1を聞いて10知っちゃう顔回って人マジパネェ。


たしかに、少ししか話聞いてなくても全体像を理解してくれたら説明の時間も省けて楽になりますよね。

でもさ、



「1聞いて10分かれよ」って…




命令すんのおかしくねぇ?





だってさ、「1聞いて10を知る」って本来めちゃくちゃすごいことじゃん?論語に載ってるくらいだし、何千年も語り継がれてる偉業なわけよ。

例えば、俺が1を聞いて10知っちゃう顔回と会話してたとすると、
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俺「うー、お腹痛い…」

顔回「なるほど、それは昨日食べた貝が当たったのかもしれませんね。もしくは最近の寝不足が影響しているのかもしれません。場合によっては盲腸が炎症を起こしているかも。いずれにせよ、大事なのは安静にすることです。もし丸薬をお持ちなのであればすぐさま服用することをお勧めします。現状の顔色を見る限り病院に行くほどではないのでご安心ください。」

俺「ト…

顔回「厠に行きたい場合は北北東の方角120間の地点に公衆厠があります。この場所からは最も近いですね。ただ、一昨日の○○小学校42期生の同窓会があった影響で飲みすぎた池永さんの吐瀉物が飛び散っています。もし清潔さを求めるなら、遠いですが南西の方角380間の地点にある厠を使うことをお勧めします。お一人で行けない場合は、私が籠屋を呼びましょう。お代はツケで構いません。困った時はお互い様でしょう。それでは呼んでまいります。時間にして半刻程度。もう少しの辛抱です。」
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みたいなことになるわけだよね?俺が言わなくても聞きたいこと全部分かるわけじゃん。答えてくれる訳じゃん。普通じゃない。エスパーだよ。人間業じゃないよ。これだけすごいことなんだよ、1を聞いて10を知るって。


それをさ、どのツラ下げて「1を聞いて10わかれよ」って命令してんのかね。

つまりあれだよ?とんでもない要求をしてるわけだよ。社会に出て20余年たって世間的には立派なお人って言われてて、だけど家庭内では妻と娘に蔑ろにされてて、それでも会社では加齢臭漂わせながらも威勢はってるオッサンが、会社の朝礼終わった時点で、最近たるんでる部分はありつつも、一生懸命仕事してる真面目な新人を呼びだして


「おい、お前。魔法使えよ。」ドンッ


って言ってるみたいなもんなんだよ。おいおい、オッサンどんだけファンタジーだ。幻想的なのは、体から発してる加齢臭と香水の入り混じった独特の臭いだけにしとけよ。

そもそも、真面目にそんなこと言われたら最早ホラーの域。実際に言われたら、恐怖で膝笑って終いには漏らすよ。


そのくらい、1を聞いて10分かるって稀有な能力なわけで。決して命令されることではないと思うんです。

大体、言ってるアンタは1を聞いて10分かんのかっつーね。いや、分かんないだろうね。そんな簡単なことじゃない。そこらへんにいるわけないよ、1を聞いて10分かるやつなんて。いたら論語に載ってない。そこらへんに論語レベルの偉人がいようか、いや、いない。



さらにね、1を聞いて10分かるって話は教わる側の能力もありつつ、教える側の能力もあると思うんです。「1を伝えて、10わからせる」みたいな。


例えば、話を伝えるときに話の核心から伝えるのと、どうでもいい導入の部分から伝えるのじゃ情報量が全然違うわけです。最終的に100%内容を伝えるならどっちでもいいけど、10%しか伝えられないなら核心の部分から話すべきですよ。だとしたら、教える側にかかってるよね。1話して10分からせる件は。

だから、結論として

「1聞いて10分かれ」って命令で使うのは正しくない


と思うんです。


じゃ、どういう使い方が正しいのか。いくつかパターンあるから、使用例で説明します。


使用例1:評価

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カフェにて。

A「あー、ホント池永さんイケメンだよねー。ちょー付き合いてえ。」

B「マジでイケメンよねー。しかもちょーヤサオだし。金もってっし。」

C「あと、1を聞いて10分かる人らしいよ。マジパネェ。」

A「え?池永さん、1を聞いて10分かんの?マジパネェ!ヤベェ!」

B「イケメンでヤサ男でブルジョワで1を聞いて10分かるとか、池永さんやっべっしょ!やっべっしょ!」

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と、こんな風に誰かを評価するときに使うのが一般的です。尊敬や畏敬の念を込めて使うと良いでしょう。



使用例2:夢

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放課後の学校にて。

先生「どうした、元気ないな。なんかあったのか?」

A「あぁ、先生か。いや、アーシも高3だしやっぱり悩み事とか増えてくんのよねぇ…。」

先生「なんだ、進路のことか。お前の成績なら希望していた大学だって難しくないだろう。」

A「いや、大学とかぢゃなくて。その先っていうか、もっと大きな視点で物事捉えないとかなって思ってて…」

先生「たしかに、大学進学は人生のゴールではないしな。だったら自分のやりたいこと、将来の夢から考えてみたらどうだ?」

A「夢って…笑。中坊ぢゃないんだからさ笑。」

先生「おいおい、夢をバカにしちゃダメだぞ?人の原動力はいつだって夢を追いかける気持ちなんだ。」

A「マジで今時珍しい熱血教師だよね笑。そっかー。夢、かあ。アーシの夢。アーシの夢は…ボソッ」

先生「ん?なんだって?教えてくれなきゃ協力出来ないぞ?」

A「…。あー、もう!だから1を聞いて10を知ることだってば!何度も言わせないでよね!」

先生「1を聞いて10を知る、か。…いい夢じゃないか!じゃあ、そのためにはだな。まずは…」
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と、自分が達成したい大きな目標として使うことも可能です。


使用例3:到達地点

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居酒屋にて。

先生「大学卒業、おめでとう!」

A「ありがとうー。4年間あっという間だったなー。」

先生「それだけお前が一生懸命頑張ったということだ。優良企業にも入れたようだし、頑張った甲斐があったな!」

A「ううん。全部先生のおかげ。あの時、夢を追いかけることを、1を聞いて10を知ることを目標にしたから、先生が背中を押してくれたから、だからガムシャラにここまでこれたんだよ。ホントにありがとう。」

先生「なにいってるんだ。どんなに応援したって、本人が頑張らなきゃ意味がないんだぞ。全てお前の実力さ。ところで、その夢の方はどうなんだ?」

A「うー。まだまだかな。今のところ、1を聞いて4が分かるくらい。夢には遠いや…。」

先生「もう4わかるまで来たのか!先生がお前の頃には2わかるくらいがやっとだったなあ。」

A「え、そうなの?今は1聞いて10分かるのに?」

先生「そのあと、先生も努力したんだ笑。」

A「ふーん…。ねぇ、先生。もし、もしね、アーシが1聞いて10分かるようになったら、夢叶えたら…。」

先生「うん、なんでも言うこと聞いてやるぞ!」

A「じゃあ、アーシと付き合ってください!池永先生!」

池永「…A。待ってるぞ。ボソッ」
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と。こんな具合に約束の到達地点として使う場合もありますね。


みなさん、使用方法分かりましたかね。決して命令形で使わずに、正しい使い方をして楽しい人生を送ってください。

ちなみに、俺は1を聞いて10分かれなんて言われたことありません。え?言われたから、怒ってブログに吐き出してるのかと思った?しょーもないなぁ。1聞いて10わかれよ。

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